大連載 金井球のエッセイ「スーパー・スキップ・午前中」
#03 ラジオは空気になり、東京には雪が降った
また4月くらいで書くのをやめてしまうんだろうと分かりながら手帳を買いました。もう2024年の終わりが見えていてこわいです。あくびをしたら、昼間なのに白くてびっくりました。もこもこのパジャマを出して、暖房をつけるのが当たり前になって、(意外と)徐々に冬が身を寄せてきているのを感じます。最近、まわりの人たちに触発されて、グルテンフリー生活をはじめました。ひとまず今年中はビールもうどんも禁止、ピザも、肉まんも…!!!こうなると途端に2024年の終わりを渇望してしまいますが、1ヶ月なんてきっと本当にはやくすぎてゆくのだと思います。
ラジオを始めてからの1年は異様なスピード感でした。あ、わたしはラジオをやっています。今月のテーマは「ラジオ」。
ラジオ愛ですね、みたいに言ってもらうことがあります。主に、いま友だちとやっているラジオ知らねえ単語について話すとき。ラジオ愛のあるお二人ですね。「ラジオ愛」という言葉にわたしは頷きながら、嘘をついている気分になります。2年くらい前から、毎週欠かさず聴いている、みたいなラジオがなくなりました。あ、更新されてたのか、と気づいてもなかなか聴く気にならなかったり。いまは胸を張ってラジオが好きとは言えないわたし(23)です。
ラジオ愛があった、と思うのは高校生のころ。セブ山・永田の最高ラジオを聴きながら西八王子駅のホームで電車を待つ自分の手元をよく思い出します。(食べおわって少し汁を残したおでんのカップをカイロがわりにしている)そのころ、こんなちいさな街でラジオを聴いているのは自分だけだと思っていたころ、わたしはものすごくラジオが好きでした。まわりに共有できる友達がいないことが、人におすすめできないような内容の会話が、わたしとラジオの間の妙な信頼関係を感じさせて、わたしもラジオに選ばれているような気がして、少し特別な人間だと思えたのです。これもこれで、健全にラジオが好きだったのかあやしいけど、そのときのわたしに「ラジオ愛」と言ったら、100%の笑顔で頷いていたと思います。
ちょっとまってくれ!いまのわたし!生放送のために夜更かししたり、配信されてすぐ聴いたり、そういうことはなくなってしまったけれど、可視化できないレベルで生活のちっちゃい隙にラジオが自然に超自然に入り込んでいるってことなのかも。いまこれを書きながら思いました。好きとか愛とかはとっくに超越して、わたしになっているのかも、と思ったら、これはラジオ愛なんじゃないか!と、今、思って、なんかちょっとうれしくなってきました!なんだそれ!結婚生活みたいな話?家族?
いま、わたしは多分生活が一番好きです。大好きな生活のなかで、ラジオがフィットする瞬間にだけラジオを聴くのをラジオ愛だと呼んでみるのもありかもですね。それではさようなら…。(唐突)←今年もこのように、唐突に終わるのだぞ。
2024.11.23 am9:00
金井 球 Kanai Kyuu
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#03 題材「ラジオ」